ここ北京の地でわれわれが特に懸念していることは朝鮮半島での核拡散の脅威が増大していることである。中国政府が六カ国協議の再開を提唱し、危機解決に役割を果たしていることは非常に積極的な発展であり、建設的な模範となっている。先制的な軍事介入ではなく、これと同様の政治的・外交的努力が中東、アフリカ、南アジアなどあらゆる地域の紛争にも適用されるべきある。
小火器、軽火気、地雷、クラスター爆弾などによる死傷者の数は毎年何十万にものぼっており、これは世界の多くの国と地域で人間の健康に対する危機を象徴している。
さらに、あらゆる形態のテロの暗い影が人類をおおっており、恐怖と抑圧といっそうの暴力の政策へと駆り立てている。核兵器を兵器用核分裂物質が国際管理を受けないで存在する限り、核によるテロの可能性は存在し続ける。核保有国が自国の核兵器を廃絶するという誓約を最終的に確実に尊重することは必要不可欠となっている。
法の支配を掘り崩すということはすべての人々の安全を掘り崩すということである。とくに、先制戦争という概念は否定されなければならない。われわれは、国連のコフィ・アナン事務総長など多くの国際社会とともに、イラクに対する戦争は違法であると非常に憂慮している。われわれはさらに、この戦争の結果としてのイラク占領の継続、暴力と殺戮の日常化という事態はイラク国民の真の主権の確立によって解決されるべきであると考える。
何十年にも及ぶ中東における悲惨な紛争は、公正で非暴力的に解決されなければならない。われわれはイスラエルとパレスチナ自治政府があらたな和平交渉をただちに開始するようよびかける。われわれIPPNW独自の「平和への医療ロードマップ」をすすめることによって和平プロセスを支援する用意ができている。IPPNWは紛争の双方の側からの暴力行為を糾弾し、暴力を助長するあらゆる行為を停止することを求める。
世界の軍事費はふたたび増加するいっぽうで、古くからの人類の敵―飢餓、病気、貧困によって、毎年何百万人もの命、その多くは子どもたちの命が不条理にも奪われている。さらに、先進国の経済政策によって、富める国と貧困国の格差は縮まるどころか広がる一方である。われわれは軍事費を抜本的に削減し、その分を健康と人類福祉にふりむけて、世界保健機構(WHO)がかかげている「すべての人々に健康を」という目標にこたえるよう訴える。
われわれは、すべての核兵器の廃絶、戦争の阻止、小火器による暴力の減少、すべての人々の正義を平等という誓約を再確認する。われわれは、テロだけではなく、テロへの応酬としての戦争をも否定する。われわれは、すべての医師、医学生そして保健にたずさわるすべての労働者にIPPNWに参加し、核によるホロコーストを阻止し、平和的で非暴力的に紛争を解決するため医療の分野で活動するようよびかける。この活動はかつてなく緊急の課題となっている。