(戻る)

IPPNW第16回世界大会(北京)に参加して

                            青森市八甲病院 山崎照光

 今回の参加は第14回のパリ大会につづいて2回目の参加となった。また北京に来るのも、17年前中国数都市をめぐる旅行以来2回目である。

 青森県民医連では毎回一人参加させてきている。青森県民にとって「核」とは「核兵器」よりも「核燃料」の「核」として日常のニュースとしても報じられることが多い。また、原子力などのエネルギー問題と「核開発」「核兵器」は密接に関連しており、このことは大会のワークショップの一つとして「“両刃の剣”:原子力エネルギーと核兵器」というテーマでも採り上げられている。今大会に際して、私は「日本の核武装論とエネルギー政策

〜六ヶ所核燃料サイクル施設との関連〜」という表題で発言内容を準備したが、英訳が送られてきたのが9月13日。機会があったら英語でスピーチしようかと思って参加したが、

英語力の関係で文書を置くだけとなった。前回(パリ大会)では通訳の方に援助してもらって、日本語で六ヶ所の核燃料サイクル施設の問題点などを発言し若干討論もしたが、国際会議でまともに発言、討議するとなるともっと英語力をつけなければならない。前回参加後もそのことを痛感し、多忙の中週2回英会話教室に通ったが,その後それを生かす機会もほとんどないいまま過ごしていたら、英語力も錆びてしまって、今回の大会にはほとんど役立たずであった。大会前後韓国の核開発疑惑が報道されたり、北朝鮮北部で大きな爆発事故があって一時は核爆発か?とのニュースが流れたりして朝鮮半島の核危機の問題がクローズアップされ、大会のシンポジウムとしても採り上げられた。しかし日本の核武装論に対しては参加者の認識はあまりないようであった。灯台下(もと)暗しということわざがあるが、日本においても核武装論が以前から研究されたり、政府の中枢にある立場の人々から発言されたりと、底流では蠢いているのである。六ヶ所村にはウラン濃縮施設もあるし、もうじきウラン試験が始まり2006年から本格稼動予定の再処理施設が今、一番問題となっている。何が問題かというと一つはコスト。7月になって使用済み核燃料を直接処分したほうが、再処理するよりもかなり安いという試算を関係諸機関が隠していたことが相ついで発覚した。また再処理施設からは様々な有害放射性物質が大気や海に排出され周囲の環境汚染による人間をふくめ生物の生存の危機が予測される。さらに、再処理施設が稼動すれば、生産されたプルトニウムの使い道である。高速増殖炉もプルサーマルも頓挫している今の状況ではプルトニウムは増える一方である。時代の状況如何では核兵器の開発、製造の可能性もある。

 17年ぶりの北京について。高層建築物と車がかなり増えている。当時は日本の車が多かったが、今回はベンツやBMWなどヨーロッパの高級車もかなり多かった。市場経済の一部導入によって富裕層もかなり増えてきているのだろう。2008年のオリンピック開催に向けて大きく飛躍しようとしている姿がみえた。たぶん環境汚染などの負の部分も抱えながら。次に参加できるのは、またオリンピックの年になるのだろうか?