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「憲法9条を守る会」と「劣化ウラン弾」

06.8.18 大阪民医連 耳原総合病院 平林邦昭

 私達の病院には、「9条の会」があります。世界中の皆様が御存知のように、日本は先の大戦に対する痛烈な反省のもとに、戦争放棄、いかなる軍隊も保持しない、とうたった憲法9条を戦後もつに至りました。これは、コスタリカの憲法とともに、国際社会における平和の金字塔である、と我々は確信しています。

しかしながら、現在の日本政府は米政府とたくらみ、この憲法9条を改悪し、日本を米国とともに戦争ができる国に変えようと必死になっています。一方、現行の憲法9条を一字一句変えるべきではない、とする我々の勢力は各地、各職場単位で「9条の会」を作り、ネットワークを作り「草の根の運動」を展開しています。私達憲法9条を守る勢力は、現在の日本政府の動きにたいへんな危機感を持っているのです。そして私達は、世界中の皆様に、この輝かしい憲法9条をもっと知っていただきたいのです。そして、9条を守るためには外国の皆様の協力が是非必要だと考えています。

私達の医療機関の「9条の会」の活動について紹介させていただきます。

私達は、9条を守る活動と同時に、この間一貫して世界に広がる劣化ウラン弾の被害に注目し学習し世論に訴える活動をしております。「9条の会」は、「反核平和運動」とリンクして活動してゆかなければならない、という信念があるからです。劣化ウランの被害が大きいイラク:バスラ小児病院の医師から送られてきた映像や、現地で活動してきたフォトジャーナリストの映像を通じて院内で学習し、その成果を地域の9条の会や、学校などでも公開し幅広く世論に訴える活動をしています。

また、91年の湾岸戦争の帰還兵に広がる様々な疾病についての米軍資料を翻訳、学習しながら米軍があえて劣化ウラン弾の被害を隠蔽しようとしている実態も明らかにしてきました。

劣化ウラン弾の被害は、爆破後の粉塵を吸い込んで肺に沈着したり、粉塵が溶けた水や土壌から飲料水や食物として体内に取り込むことにより引き起こされる低線量の内部被爆であり、重金属の毒性も重要です。この粉塵から出されるアルファー線や重金属が細胞の遺伝子を破壊することにより、広島、長崎とはまた違った形で、多くの兵士、住民を様々な悪性新生物にかからせ、2世である子ども達にも甚大な被害を与えています。

日本政府は、唯一の被爆国政府であるにもかかわらず、劣化ウラン弾についても米国への追随に終始し結果として新たな「ヒバクシャ」の発生を許しているのです。

私達日本国民は、広島、長崎を二度と繰り返さないためにも、劣化ウラン弾による新たなヒバクシャの発生を防ぎ、支援を行ってゆくよう日本政府に働きかけてゆかなければなりません。

そして、劣化ウラン弾反対の運動は、9条を守る活動そのものでもあるのです。皆様のご協力をお願いいたします。