イラクへの自衛隊派遣の計画をただちに中止することを要望する

2003年12月1日

「核戦争に反対し、核兵器廃絶を求める

医師・医学者のつどい」常任世話人会

代表世話人 児島  徹

        松井 和夫

 イラク北部のティクリット近郊において、29日、何者かによって日本人外交官2名の尊い命が奪われるという卑劣かつ許しがたい事件が発生した。われわれ「つどい」は、犠牲になられた外交官とそのご家族の方々に心からの哀悼の意を表するとともに、今回の蛮行に対し断固抗議の意を表明する。

 いま、イラクは戦争状態にあることは明白である。イラクやその周辺国では、米英軍によるイラクの軍事占領支配に抵抗するレジスタンスやテロ組織などによる襲撃事件が連日繰り返され、多数の死傷者を生み出すなど、イラクをめぐる状況は悪化の一途をたどっている。こうした背景には、何の道理も根拠もなく世界の平和秩序を踏みにじった米英軍によるイラクへの武力攻撃とイラク国民の意思を無視し軍事占領を続けていることにあることは明白である。

 日本政府がアメリカに追随し、米英軍の軍事占領を支援するために何としても実行しようとしている自衛隊のイラクへの派遣は、イラクの現状や世界と日本の世論からも非難される愚行である。

 米国は、従来の核抑止戦略ではなく、小型核兵器を通常兵器と有効に組み合せ、相手を先制攻撃により殲滅しようというNPR(核態勢見直し)の危険な新戦略を打ち出している。日本が米国に追随し、イラクに自衛隊を派遣することは、米国の世界戦略への協力・加担にほかならず、日本が世界のテロリストやレジスタンスの標的になることは間違いない。

 われわれ「つどい」は、先制核戦争の危険なたくらみをもつ米国の世界戦略の一貫による米英軍のイラクの軍事占領ではなく、国連中心の非軍事による復興支援、人道支援の枠組みを早急につくるために世界の国々が努力することを心から願う。日本政府は、イラクへの自衛隊派遣の計画をただちに中止し、非軍事の復興・人道支援のための積極的な外交努力をおこなうべきであると考える。

以上