声明
小泉内閣は、「人道・復興支援」の名のもとに、自衛隊のイラク派兵を強行した。戦後五十八年間にわたって築いてきた平和憲法の誓いを踏みにじるものであり、断じて許されない。われわれ、核戦争に反対し、核兵器廃絶を願う医師、医学者として、断固抗議の意を表明する。
そもそもイラク戦争は、米英軍が国連中心の国際的な平和秩序を無視し強行したものである。その後の無法な軍事占領支配は、イラク国民の怒りと憎しみを増大させ、テロの土壌を広げ、事態をいっそう泥沼化させている。だからこそ、仏、独、露などの主要国は派兵せず、トルコも派兵を中止した。また、米国担当者の証言でも明らかなように、イラクには大量破壊兵器はなく、イラク戦争の大義も道理もないことは明白である。しかも米国は、従来の核抑止戦略ではなく、小型核兵器を通常兵器と有効に組み合せ、相手を先制攻撃により、せん滅しようというNPR(核態勢見直し)の危険な新戦略を打ち出している。
日本政府がこうした米国にひたすら追随し、自衛隊をイラクへ派兵することは、イラクの復興どころか、米国の世界戦略への協力・加担であり、新たな混乱とテロ攻撃を生みだすものに他ならない。
日本政府は、米国による軍事占領への協力ではなく、国連中心の枠組みでの非軍事による真の復興・人道支援をおこうべきである。武装した自衛隊を戦地に派兵することは、戦後初めてであり、武力の行使、威嚇を禁止した憲法に違反することは明らかである。他国民に銃口をむけて、殺し殺されるという歴史に汚点を残すことにならないよう、いまからでもただちに撤収すべきである。
内閣総理大臣
小泉 純一郎 殿
2004年2月22日
核戦争に反対し、核兵器廃絶を求める
医師・医学者のつどい常任世話人会