原爆症認定集団訟・名古屋地裁判決にあたって

2007年2月2日

核戦争に反対する医師の会

代表世話人 児島  徹

代表世話人 山上 紘志

代表世話人 中川 武夫

 1月31日、名古屋地方裁判所は、原爆症認定愛知集団訴訟に関して、原告4名のうち2名について、厚生労働大臣の認定申請の却下処分を取り消す判決を下した。

 判決は、昨年5月の近畿訴訟判決、同じく8月の広島訴訟判決に引き続き、厚生労働省が固執する認定基準について、「被曝線量の算定方式のDS86、審査の方針で採用される原因確率論のみを形式的に適用したのでは、その因果関係の判断が実態を反映せず、誤った結果を招来する危険性がある」と、厳しい判断を下し、厚生労働省の認定基準を厳しく断罪する積極的な内容をもつものである。

 しかし、原告全員が認定されることを期待していただけに、2名の原告が原爆症と認められなかったことは残念である。

 国は、高齢化した被爆者の現状も深刻に受け止め、今回の判決で勝訴した2名について控訴せず、原爆症と認定すべきである。

そして、昨年の大阪地裁、広島地裁についても控訴を取り下げ、あわせて現在の厚生労働省の原爆症認定制度を抜本的に見直すことを強く要求する。