原爆症認定集団訟・東京地裁判決にあたって

　３月２２日、原爆症認定却下処分の取り消しを求める裁判で、東京地方裁判所は、原告３０名のうち、２１名について原告勝訴の判決を言い渡した。

　今回の判決により、政府の認定行政のあり方は昨年の大阪地裁判決以来、広島、名古屋、仙台、東京と、５つの判決で連続的に断罪されたことになる。これらの裁判を通じて最大の焦点となったのは、原爆症の認定にあたって、原爆の初期放射線のみを対象にして作成した「基準」に固執し、現実に被爆者におこった被害に目を塞ぎ、訴えを退けていく、機械的で冷酷な被爆者援護行政のあり方そのものである。

にもかかわらず政府が、なんの根拠もないまま、相次いで控訴していること自体、６２年の被爆者の苦しみに追い討ちをかける非人道的態度としか言いようがない。

　核戦争に反対する医師の会は、政府に対し、�@仙台地裁と東京地裁を控訴せず、大阪、広島、名古屋での控訴を取り下げること、�A被害の実態に即した審査・決定のあり方を抜本的に改めることを強く要求する。

　そして、私たち反核医師の会は、今年結成２０年の節目の年を迎えるにあたり、核兵器廃絶と被爆者救済のために全力をあげる決意を表明する。