内閣総理大臣 福田 康夫 殿

外務大臣   高村 正彦 殿

2008年6月25日

核戦争に反対する医師の会

代表世話人 児島 徹

同   中川武夫

同   山上紘志

洞爺湖サミットについての申し入れ

 今年7月にはわが国で洞爺湖サミットが開催されます。

主な核兵器国が一堂に会する洞爺湖サミットは、核兵器問題でも、核不拡散問題に一面化することなく、核兵器廃絶への新たな展望を切りひらく場としなければなりません。この会議において、貴職が、被爆国政府にふさわしい積極的な役割を発揮されるよう、つよく要請するものです。

 世界の動きは、非核・平和こそ世界諸国民の共通の願いであることを、力強く示しています。この1月以降だけでも、キッシンジャー元米国務長官ら米政界長老4氏による共同論評「核兵器のない世界へ」の発表、クリントン政権時代の元国務副長官による次期大統領への提言、ジュネーブ軍縮会議における英国防大臣の演説等が有力メディアを通して世界に発信されました。米有力民間3団体も次期大統領への10項目の具体的措置を提案しています。これら諸提案が共通して「核兵器廃絶」の課題を正面に掲げていることは、大いに注目すべきです。ノルウェー外務省も2月、核兵器廃絶のための国際会議を開催しています。

 他方、ブッシュ政権が依然として世界戦略の要に核戦力を位置づけ、その先制使用さえ公言していることは重大です。新たな「代替核弾頭」開発計画等に固執し、核兵器を含む米国の軍事力が「拡大抑止の中核」とさえ明言しています。一部核兵器国政府による、核兵器先制使用の可能性の言及についても、看過することは許されません。

 今年は、国連史上初めて、核兵器廃絶をはじめ軍縮問題に議題を絞って開催された第1回国連軍縮総会から30年目にあたります。同会議は、その後の世界におけるすみやかな核兵器廃絶の実現を求める国際世論の形成に歴史的な一石を投じるものでした。日本政府は、この非核・平和の原点を想起し、核兵器廃絶のための具体的な道筋をつけるリーダーシップをとるべきです。私たちはこうした状況をふまえ、日本政府が標記会議に臨むにあたって、以下の諸点について積極的な役割を果たすよう申し入れるものです。

【要請項目】

1、日本政府は、憲法第9条をもつ被爆国政府として、核兵器廃絶を妨げるいかなる動きにも反対すること。核兵器廃絶を提唱している新アジェンダ連合、非同盟諸国との連携、共同を強めること。

2、核兵器廃絶について特別の責任を有する核兵器国が2000年再検討会議で合意された核兵器廃絶の「明確な約束」を誠実に履行するよう、働きかけること。核先制使用・拡大抑止、ミサイル防衛(BMD)政策等を推進する米国、核先制使用を公言する一部核兵器国に対し、その核政策の取り下げを求めること。

3、広島・長崎の被爆から63年目となるいまなお、世界に2万発とも2万7千発とも言われる核弾頭が存在する事態を直視し、核兵器全面禁止条約交渉の開始を求め、核兵器廃絶のためのプログラム確立のために積極的役割を果たすこと。

4、わが国が将来にわたって「非核3原則」を厳守することを世界に表明し、「非核3原則」の法制化に取り組むこと。