原爆症認定集団訴訟での3月12日の東京高裁判決にあたって
2009年3月19日
核戦争に反対する医師の会
代表世話人 児島 徹
同 中川武夫
同 山上紘志
原爆症認定集団訴訟において、3月12日東京高等裁判所は、1審・千葉地裁判決に続き、肝硬変など国の認定基準以外の疾病のある未認定の2人を原爆症と認定する判決を下しました。
判決では、「がんほど顕著ではないが、がん以外の疾患(心臓疾患、脳卒中、慢性肝疾患その他の消化器および呼吸器疾患)についても、低線量の放射線被曝により確率的に障害が起こり得る可能性を肯定できるだけの統計的な解析結果が得られており」と指摘し、国の認定基準を退けました。
原爆症集団訴訟では肝機能障害を原爆症と認める初の高裁判断となり、国が改めた新しい審査基準のもとで進められてきた認定行政の誤りを厳しく指摘し、原告の被爆者が勝訴する結果となりました。
国と厚労省は、原爆症認定集団訴訟での一連の判決を真摯に受け止め、上告することなく、真の被爆者救済の立場にたった行政に改めるべきです。
私たちは、唯一の被爆国の医師として、長年被爆者に寄り添い、被爆医療や意見書作成、訴訟支援などに加わってきました。
高齢化する被爆者には時間がありません。原爆症認定集団訴訟の一括解決とすべての被爆者を救済のため、ただちに政治決断をはかるよう強く求めます。