原爆症認定集団訴訟での5月28日の東京高裁判決にあたって
2009年5月28日
核戦争に反対する医師の会
代表世話人 児島 徹
同 中川武夫
同 山上紘志
原爆症認定集団訴訟において、5月28日東京高等裁判所(稲田龍樹裁判長)は、原爆症の認定申請を却下した国の処分取り消しと損害賠償を求めた控訴審で9人を原爆症と認める判決を下した。
判決では「放射線の影響について過小評価に陥る可能性がある」と国の新認定基準の不十分さを指摘した。さらに、新認定基準の対象外とされている「有痛性瘢痕」についても、高裁レベルではじめて認定した。
原爆症集団訴訟は全国で17の地裁で争われており、今回で国の18連敗となった。
国と厚生労働省は、原告側に今回の判決を「解決に向けた最大の山場」と説明してきた。今こそこの判決を真摯に受け止め、一刻も早く真の被爆者救済の立場に立った行政に改めるべきである。
私たちは、唯一の被爆国の医師として、長年にわたり被爆者に寄り添い、被爆医療や意見書作成、訴訟支援などに関わってきた。
高齢化する被爆者には時間がない。原爆症認定集団訴訟の一括解決とすべての被爆者の救済のため、直ちに政治決断をはかるよう強く求める。