2010年3月24日
内閣総理大臣 鳩山由紀夫 殿
外務大臣 岡田 克也 殿

NPT運用検討会議に向けての緊急の要望

核戦争に反対する医師の会(反核医師の会)
Physicians Against Nuclear War(PANW)
代表世話人 児島  徹
      中川 武夫
      山上 紘志
事務局長  松井 和夫

3月23日に「2010年NPT運用検討会議に向けた実践的核軍縮及び不拡散措置の新しいパッケージ」提出の岡田外務大臣談話が発表され、五月のNPT運用検討会議に作業文書として提出されるとのことです。

昨年4月のオバマ米国大統領のプラハ演説は核廃絶を願う世界中の人々に感動を与えました。9月の国連総会での鳩山首相の演説は、過去の日本政府の核廃絶への消極的姿勢とは異なり、「日本は核保有国と非核保有国の「架け橋」となって核軍縮の促進役」となり、「核保有国に核軍縮を促し、非核保有国に核兵器保有の誘惑を絶つよう、最も説得力を持って主張」するなどの内容は世界中で歓迎されました。さらに、私たちは貴職の政権を担当される前からの核兵器廃絶への積極的な姿勢に大いに共感し、期待を持ってきました。

先日の日豪共同ステートメントで「核軍縮・不拡散体制の抜本的強化に向けて、両国が核軍縮・不拡散分野での協力を深化」「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会(ICNND)」の報告書が、核兵器のない世界という目標を達成するための多くの有益な提案」などと述べられたことからも、私たちは、現政権が5月のNPT運用検討会議で核廃絶への真のリーダーシップを発揮されることを期待してきました。

しかし、今回の「パッケージ」の内容は、核軍縮に関しては2000年NPT最終合意文書の再確認に過ぎず、抜本的強化どころか、そこから具体的な一歩を踏み出しているようには見えません。また、提案内容は抽象的であり、実践的・具体的とは言えず、残念なことに過去の核兵器の延命に寄与してきた自民党政権時代のいわゆる「究極的核廃絶」との違いも見えません。

私たちは、貴政権が文字通り唯一の被爆国政府として核廃絶に積極的に取り組まれることを期待し、心からそう願っています。

以下のことを、NPT提案文書に追加下さるよう要望いたします。

1)具体的な第一歩として核兵器の唯一の使用目的を「核攻撃の抑止」に限定
2)各提案に目標とする具体的な時間枠の設定
3)北東アジア非核地帯を含む世界各地での非核地帯化の促進
4)包括的な核兵器禁止条約に向けての交渉開始