内閣総理大臣 菅 直人殿
 外務大臣   岡田克也殿
 経済産業大臣 直嶋正行殿
内閣官房長官 仙谷由人殿 

日印原子力協定の締結に反対します

                 2010年 6月25日

核戦争に反対する医師の会(反核医師の会)
Physicians Against Nuclear War(PANW)
代表世話人 児島  徹
      中川 武夫
      山上 紘志
事務局長  松井 和夫

日本がインドとの原子力協定締結交渉を視野に、関係省庁間の調整作業に入っていると報道されています(中国新聞6月22日)。
核拡散条約(NPT)は、核兵器を新たに開発した国に対する民生用原子力開発への協力を禁じています。インドは(NPT)未加盟国ですが、NPTの趣旨から、条約外の国とはいえ、加盟国が事実上核保有国の(民生用であっても)原発建設に協力することは断じて許されない行為であると考えます。この行為はNPTを事実上形骸化し、「核兵器を開発してしまえば勝」という既成事実を作り出すものであり、北朝鮮の核開発を非難する根拠もなくなります。さらに、明らかに「核のない世界」実現に逆行するものです。インドが核兵器を廃棄し非核保有国としてNPTに加盟するまでは、日本がインドの原発建設を含むすべての原子力利用に協力しないよう、日印原子力協定を締結しないよう要請します。
同じ報道によると、岡田外相が共同通信のインタビューで「各国が(対インド協力に)進んでいる時に日本だけが違うことを言って、それがどれだけ意味がある・・・・」と語られています。日本は唯一の被爆国です。各国が違反することと、唯一の被爆国日本が違反するのでは、国際社会に与える影響はまったく違うということをお考えください。
私たち核廃絶を願う市民は、新たに鳩山政権が誕生し国連演説での核廃絶に向けての決意などから、今までの自民党政権の口先だけの「唯一の被爆国政府」として「核廃絶の先頭に立つ」ではなく、真剣に「核のない世界」を目指した役割を果たされるものと期待してきました。
8月、菅首相は広島・長崎での慰霊式典では被爆者の御霊の前で核廃絶に向けて挨拶をされることと思います。どうか、被爆者の「私たちの命ある間に核廃絶を」という願いを裏切るような決定をしないでください。