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(声明)


アメリカ合衆国によるイラクへの先制攻撃と
核兵器使用の中止を求める


----- 同時多発テロ事件後1年を迎えるにあたり -----

 

核戦争に反対し、核兵器廃絶をもとめる
医師・医学者のつどい」常任世話人会
代表世話人 莇  昭三
代表世話人 松井 和夫


 

 多くの尊い命を奪った昨年9月11日の「アメリカ同時多発テロ事件」から1年を迎える。テロ行為は、法と理性にもとづく平和を築こうとする良識ある全世界の人々の願いを踏みにじる暴挙であり、いかなる理由があろうとも許される行為ではない。私たちは、テロ事件の犠牲になられた方々とそのご家族、関係者の皆様に、あらためて哀悼の意を表するとともに、再びこうした悲劇がおこらないことを強く願うものである。

 アメリカ・ブッシュ大統領は、テロ事件の「報復」として、アフガニスタンへの軍事攻撃をおこない、多くの罪なき市民をも無差別に殺戮した。そして今、核兵器開発を企んでおり、アメリカの脅威であるという理由でアフガニスタンでの新たな犠牲者を生み出したにもかかわらず、イラクへの先制攻撃をくり返し公言している。

 また、最近発表したアメリカ国防報告では、あらためてイラク、イラン、北朝鮮を「悪の枢軸」と名指し、「先制攻撃もありうる」「あらゆる手段を用いる」として核兵器使用の可能性も述べている。核兵器廃絶を願う世論と運動が広がる一方、ブッシュ大統領のもとで、計5回の核実験がおこなわれている。

 さらに、環境問題でも「京都議定書」から一方的に離脱するとともに、環境・開発サミットに、ブッシュ大統領は欠席するなどの独善的態度をとっている。

 このアメリカ政府の外交・軍事戦略=ユニテラリズム(単独行動主義)は、国際社会の合意や国連決定には関係なく、自らの判断都合で軍事行動にでるというものである。これは、国連憲章による世界の平和秩序を無視した態度である。

 こうしたアメリカの姿勢に世界各国の政府と人々が反発を強めている。

 日本の小泉首相は、「選択肢の一つとして理解できる」などと、アメリカ政府のイラクへの先制攻撃戦略に対し理解を示し、アメリカ政府のおこなう戦争に参加する有事法案の成立に執念を燃やしている。

 いま求められるのは、国連憲章に示された法と理性による世界の平和秩序の確立である。いかなる理由があろうとも、他国への先制攻撃や核兵器の使用は許されるものではない。

 私たちは、核兵器核戦争に反対し、核兵器廃絶をもとめる世界で唯一の被爆国の医師・医学者として、アメリカによるイラクへの先制攻撃と核兵器の使用をただちに中止するよう要求するとともに、日本政府が国連憲章と日本国憲法の精神にたった平和的貢献を求めるものである。



 
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