全国の医師・歯科医師・医学者、医・歯学生のみなさんへのアピール

 

 「核戦争に反対し、核兵器廃絶を求める医師・医学者のつどい」に参加、活動する私たちは第12回“つどい”を東京で開催しました。

 戦争と殺戮の20世紀に別れを告げ、平和な21世紀をつくりたいと世界の人々は思っていたはずでした。 アメリカで起こされた同時多発テロは、無差別にたくさんの人々を殺傷しました。これを「神の祝福」とするテロリズムを絶対許すわけにはいきません!  また「神の御加護」のもとでFテロ対策」と「正義」の名でおこなわれている報復戦争も罪のない人々に死や貧困、飢餓をもたらすだけです。 国連憲章の違反のみならず、国際法の根拠を欠いた報復戦争は、テロ反対で一致している国際社会を分裂させており、報復とテロという悪循環の危険を現実に大きくしています。 日本政府・与党は、国会での論議もそこそこに「テロ対策特別措置法」を成立させ、自衛隊を戦争参加のためにインド洋に派遣しました。 これは憲法9条の違反であり、日本を戦争をしない国から、戦争をする国へとかえる「改正」への企みにほかなりません。

 IPPNWは9月12日の声明でアメリカの指導者に冷静な対処を求め、テロに核が使用された場合を想定し戦慄したことも表明しています。 現に主戦場であるアフガニスタンの隣国パキスタンは核保有国であり原発所有国であるのです。 この現実を直視したIPPNWは「現状は冷戦中のもっとも危険だった時期以来の核戦争の危機である」と指摘しているのです。 ブッシュ大統領は、テロリストに大量破壊兵器を提供する「ならず者国家」諸国、テロ機関を支援する諸国は代償を払うことになると述べ、戦争拡大の合理化を図ろうとしています。 さらに弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約からの一方的脱退を決め軍備の米一極化を強化しているのです。アメリカに追随する日本政府は弾道ミサイル防衛(BMD)構想をすすめ、日本を米核戦略に本格的に組み込ませる策動を強めています。 アメリカの徹底した核兵器の固執と、これに追随する日本政府の態度は、11月の国連総会第一委員会の決議案で浮き彫りになりました。 昨年の決議案に盛り込んだ「2003年までのCTBT発効をめざす」との文言を、今年の決議案から削除したのです。ブッシュ政権の意向に合わせた、このような被爆国政府の恥ずべき態度に強く抗議するものです。

 みなさん!  医療活動をおこなうための大前提は平和であることです。人類史上、戦争で滅んだ国はあっても社会保障を充実させて滅んだ国はないのです。 憲法9条と25条は不可分に存在するのです。平和憲法を守り、発展させていく活動を強めていくことは国際社会における平和への文化の創造に大きく貢献していくことになるのです!

 核戦争や第三次世界大戦の引き金にもなりかねない報復戦争をやめさせるために世界の人々と手を取って立ち上がりましょう。そして核兵器廃絶を求める運動に、より積極的に参加し同じ願いを持つ他団体とも協力・共同していきましょう。 いま、緊急に求められているのは、一人一人の想いを自発的行動にしていくことです。 社会的良心と社会的使命を発揮し、ともに励ましあい、奮闘していきましょう!


 2001年12月16日
第12回核戦争に反対し、核兵器廃絶を求める医師・医学者のつどい