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「第13回 反核医師・医学者の集い」に参加して!

福岡県 財津吉和 


 去る10月19、20日、松山市で催された反核の集いに参加した。初日はドキュメンタリー映画「軍隊を捨てた国」が上映された。中米のコスタリカでは半世紀以上前に軍隊が廃止され、皆の努力で「民主主義と平和」が維持されている現状を淡々と描いたものだ。生き生きとした子供たちの表情が印象的であった。

 次に基調報告があり、その後、劇団民芸の女優・日色ともゑさんの記念講演「さわやかな心、大切に」があった。被爆体験記の朗読などを通じ、平和の語部として地道な活動をしている彼女の来し方・行き末が爽やかに語られた。師 である故宇野重吉さんが求め続けた「愛・正義・真実」にまさに裏打ちされた 彼女の生き方であった。


 さて、次は岡本三夫氏(広島修道大学教授・平和学)が「21世紀にむけて核廃絶をめざす市民運動」と題して記念講演された。これは総論が中心であり、 「組織にたよった運動は永続きしない。志ある個人の地道な活動の積み上げが大切である」との主旨であった。


 翌日は分科会が3つ開催された。1つ、「被爆体験を語り継ぎ、平和運動を広めよう」。2つ、「えひめ丸とグリーンビル」事件から見る「軍隊の本質」、3つ、「有事法制を考える」。私は2番目の「えひめ丸…」の分科会に参加し た。これは2001年2月10日、ハワイのオアフ島沖で、米海軍の原子力潜水艦グ
リーンビルが愛媛県立宇和島水産高校の実習船えひめ丸に下からぶつかり、船 底を切り裂いて沈没させた事件があり、高校生4人を含む9人が犠牲になった。

 将来の夢を抱いたまま、暗い海の底へ逝った寺田祐介君(当時17才)の御両親と支援し続けているジャーナリストの北 健一さんが出席された。御両親は 「今回の事件に対する米海軍および日米政府の対応の不誠実さ、そして事故原 因追求(真相の解明)がウヤムヤのまま、闇に葬られようとしている事に我慢 できない。真相を解明しない限り、同じ事が又繰り返される。息子の死を無駄にしたくない。」、「軍隊という組織を守る事が最優先され、軍事機密という ことで、必要なデータがほとんど公開されず、真相の解明が困難である」。北 さんは「補償額の交渉の段階に進んでいるが、額の大小が問題ではなく、加害 者の謝罪のあり方や交渉の全過程が遺族にとって社会的きずなの回復にいかに役立っているのかが問われている。愛する人の命がもう戻らないのなら、せめてその死を、世の中で意味ある改善につなげたい。またたとえ100パーセント米海軍が非を認めているにせよ、全てのデータを公表し、真相を徹底的に解明 しない限り、えひめ丸事件は解明したとは言えない。風化させてはならない」フロアからも次々と意見が出て、熱のこもった分科会であった。


 さて、正午過ぎから最後のまとめに入った。『松山アピール』として、「軍事行動は憎しみと暴力の悪循環を呼ぶだけであり、テロの温床となっている貧困問題の解決が最優先されるべきである。日本政府は被爆者に不当に厳しい態 度を取り続けている。被爆者も高齢化しており、我々医師は被爆認定に協力し よう。憲法9条の精神を踏みにじる有事法制に強く反対しよう。―――核兵器はいらんぞなもし―――核兵器廃絶と平和の重みを世界中の子供達に伝えま しょう………」

 今回参加してみて、真剣に反核・反戦運動に尽力している同志が津々浦々で 活躍している事実を知り、大いに勇気がわいてきた。 正しく志ある個人の地道な活動の積み上げが大切であることを痛感した。

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