松山アピール
全国の医師・歯科医師・医学者、医・歯学生のみなさんに訴えます
今、核軍縮が危機に瀕しています。90年代には、世界は核廃絶へと確実に前進しました。しかし、21世紀になって米国のブッシュ政権は核軍縮への道を大きく後退させ、最近では、核兵器を通常戦争でも使おうとしています。
昨年アメリカで起きた同時多発テロでは多数の民間人が犠牲となりました。ブッシュ大統領は、その報復として「テロへの戦争」を唱え、さらには核使用を含む圧倒的軍事力によるアメリカ一国の世界支配を公然と主張しています。
テロへの戦争としておこなわれたアフガニスタンへの猛烈な空爆では多数の民間人が犠牲となり、農地や道路などのインフラは壊滅状態となりました。しかし、テロリストは壊滅するどころか、世界各地でテロを多発させています。軍事行動は、憎しみと暴力の悪循環を呼ぶだけです。
アメリカはイラクに対してテロリスト支援や大量破壊兵器開発をしているなどの理由をつけ先制攻撃を加えようとしています。核使用も計画されています。核兵器は、テロを口実に新たな役割を担わされようとしています。テロに使用される危険性もあります。核がある限り、使用される可能性はなくなりません。核保有国は核不拡散条約(NPT)第6条を遵守し、直ちに核廃絶への取り組みをはじめるべきです。
テロ対策に必要なことは法に基づく裁きと、温床となっている貧困問題などを国際協調で解決することです。アメリカがイラク先制攻撃計画を中止し、国連を中心としたテロ対策、核査察、紛争の平和的解決などに中心的役割を果たすように求めます。アメリカ政府は、北朝鮮が核兵器を開発していることを認めたと発表しました。このことは両国がどんな意図を持つかは別にして、核兵器問題を国際政治の取引の道具にしていると思わざるをえません。私たちはあくまでも両国が加盟する核不拡散条約を遵守し、核兵器廃絶に誠意をもってのぞみ、核兵器の永久廃絶に努力することを要求します。また、先の日朝首脳会議では核問題での「国際合意の遵守」が確認されました。日本政府はこれをさらに発展させ、北アジアに非核地帯を作るためのイニシアチブを取るべきです。
政府は依然として被爆者には不当に厳しい態度を取り続けています。被爆者は2次に及ぶ原爆症認定集団申請をしました。また、在外被爆者には、渡航費支給などの支援は約束したものの、被爆者援護法の適用を認めず手当の支給を認めない方針は変えようとしません。被爆後57年が経ち、被爆者は高齢化しています。至急の解決が必要です。引き続き支援活動を続けましょう。
有事関連法案が「備えあれば憂いなし」の言葉の下に、成立させられようとしています。しかし、今必要なことは、憲法第9条の精神に基付き、近隣諸国をはじめすべての国と互恵を基盤とする友好関係を築き上げることです。無用の軍事的緊張を招く有事法制に強く反対します。
日本政府は、口では核廃絶を唱えながらアメリカの核兵器容認の姿勢を続けています。非核三原則を法制化し、アメリカの顔色を伺う核軍縮でなく、唯一の被爆国政府にふさわしい核廃絶への道を歩むことを求めます。
IPPNWは世界の反核医師を代表し、ブッシュ政権の暴力主義的政策こそ市民をテロの危険に曝すものだと、理性的かつ機敏に対イラク戦争反対を世界に訴えています。この反対運動を全力で支援しましょう。
核廃絶は人類の生存を脅かすものであり、その廃絶は重要かつ緊急の課題です。ここ四国、松山で私たち「第13回つどい」参加者は核廃絶に向けて努力を続けることを改めて決意すると共に、全国の医師・医学者に医師として核の惨禍と予防(廃絶)の重要性を周囲に訴えるよう呼びかけます。
核兵器いらんぞなもし! 核兵器廃絶と平和の重みを世界中の子供達に伝えましょう。
2002年10月20日
第13回 核戦争に反対し、核兵器廃絶を求める医師・医学者のつどい
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