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第15回核戦争に反対し、核兵器廃絶を求める医師・医学者のつどいin北海道


なくそう核兵器 札幌宣言


 広島、長崎に原子爆弾が投下されて59年が経ちました。核兵器廃絶の願いに背を向け、心なき人たちの手によって、今尚地球上には3万発近くの核兵器が存在します。それらの95%以上をアメリカ、ロシアの2大国が保有しています。そしてそのうち15千発がいつでも使用可能な状態で配備されています。

 2000年の核不拡散条約(NPT)の再検討会議では、その不平等性にもかかわらず、核保有国が初めて核兵器廃絶を「明確に約束」し、包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効を含む13項目の核軍縮を全会一致で採決しました。

 しかし、アメリカ・ブッシュ政権は就任当初から、一国中心主義を剥き出しにし、世界の平和を乱しています。「ならずもの国家」に対する先制攻撃、「テロ」に対する戦争を正当化し、「核態勢見直し」のなかで、より使いやすく、より小型化した核兵器の開発を公言しています。またロシアも、核兵器と核抑止力を世界平和の基礎とし、改めて核兵器への固執を示しました。また核の闇市場もこの大国の態度がもたらしたものです。

 小泉内閣は、相変わらず国民に背を向けて、アメリカ・ブッシュ政権のいいなり政治を続けています。様々な「アメリカ協力法」、そして有事関連法、行き着くところは人類の財産とまで言われている平和憲法の改廃です。外交においてもアメリカの核の威力に頼るなど、被爆国としての主体性がありません。広島、長崎で平和式典での小泉首相の挨拶でも、被爆者援護、平和憲法、核兵器廃絶に対するウソが、臆面もなく語られました。

 また、最近劣化ウラン弾が問題になっています。劣化ウラン弾の撃ち込まれた地域の人々や兵士の間で、先天異常、白血病、悪性腫瘍が多発しているとの報告です。劣化ウラン弾の即時使用の禁止と、使用した国家、協力した国家の責任において、その実態の調査と被害の救済がなされるべきであると考えます。

 来年5月にはNPT再検討会議が開催されます。国際社会では、核兵器廃絶を求める声が、ますます高まっています。そして様々な動きとなって現れてきています。非同盟諸国やアジェンダ連合諸国はブッシュ政権の核政策を厳しく批判しています。国連総会では、アジェンダ連合の「核兵器のない世界へ」「非戦略核兵器の削減」決議が採択されています。このNPT再検討会議を実りあるものにするために、様々な運動が展開されています。

 来年は被爆60周年です。唯一の被爆国、そしてなによりも平和憲法を持つ日本が果たす役割はいよいよ重大です。1つは来年のNPT再検討会議を成功させること。もう1つは、アジアの一員として朝鮮半島を含む北東アジアに非核安全地域を作ること、そしてこれらの課題に率先してとりくむことです。政治を動かすには大きな世論が必要です。

私たち医師、医学者は全国の仲間に呼びかけ、さらに多くの人々と連帯し、核兵器廃絶に向け最大限の努力することをここに宣言します。

2004年10月10日