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国連軍縮会議in静岡が開催される




 軍縮に関する国際的な議論を活性化するために世界の政府関係者や有識者が意見交換する国連軍縮会議が、1月30日から3日間、静岡で開催されました。この会議は、国連アジア太平洋平和軍縮センターが主催し、1989年以来毎年日本で開催されています。16カ国、3国際機関から74人が参加し、多くの市民が傍聴しました。

1月30日午前の「人道上の問題と核兵器」のセッションでは、ティム・コーリー国連軍縮調査研究所上席研究員、スノウフリド・エムテルド在京ノルウェー大使館参事官、天野万利軍縮会議日本政府代表部大使がパネリストとして発表しました。コーリー氏は、核兵器使用の人道的影響(多数の人々の死傷、環境破壊、気候変動、飢饉の発生等)の視点が市民運動で注目されてきており、これは核廃絶のために非常に有効であると主張しました。エムテルド氏は、これまで核兵器の人道的影響を議論する場がなかったため、3月に開催予定の核の非人道性に関するオスロ会議では、人道的影響について事実に基づいた検討を行うと説明しました。しかし天野氏は、人道的影響と国家安全保障の両者の視点のバランスをとりながら核廃絶を進めることが必要と述べました。さらに昨年スイス等が国連に提出した核兵器の非合法化を含む声明への署名を日本が拒否した理由を質問された際には、核廃絶のためには、即時に禁止条約を作るよりもこれまで議論された段階的なアプローチを大切にすべきと回答しました。この他参加者からは、日本の原爆被害の実態は世界でまだ十分には知られていないため、世界に知らせる場を国連に作って欲しい等の意見が出されました。

 同日午後の「非核兵器地帯」のセッションでは、イスラエルやイランを含む中東非核平和地帯、日本や北朝鮮を含む北東アジア非核平和地帯の設置につき、それぞれの課題が議論されました。

最終日の2月1日は特別セッション「世界学生平和会議」がおこなわれ、県内の高校生や大学生(内留学生2人)ら8人から軍縮に関する発言がありました。はじめに高校生平和大使の生徒(1年生)から「小さな頃から国際情勢に興味があって、新聞広告に平和大使の記事を見つけ応募した。核廃絶署名をあつめ平和実現に向けて活動をしている。戦争がなくならないのは一握りの人のため、利権が絡んでいるからではないか?子ども達のために戦争はやめてほしい」と訴えがありました。

その後は公開討論形式で議論がおこなわれ「単に戦争がない状態の平和(ネガティブピース)より、自由や人権が尊重されている状態の平和(ポジティブピース)を目指すべき」と、学生の視点から改めて平和について考えた内容が発表されました。そして、「現実には平和や軍縮を阻む複雑な背景があるが、過去の歴史を学ぶ・戦争(テロ)に繋がる貧困をなくす・平和の心を育む教育・国籍を超えた繋がりを持ち相互理解を深める、といったことが平和を実現する上で重要」であると確認し討論を終えました。
討論後、参加者から「平和・軍縮の実現には市民の関心が不可欠。若い世代がつながりを広げてほしい」「将来の仕事の中で平和の取り組みを追求してほしい」といった期待の声が聞かれました。

以上