NPDI広島会合開かれる
〜核廃絶に向けた具体的提起はなし〜
2014年4月11〜12日、広島市で軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)外相会議が開催された。会議では被爆者の証言、原爆資料館見学などを通じて核兵器の非人道性では一致したものの、核兵器禁止や廃絶に向けた提起はなく「69年間使用されなかった状態を継続しよう」といったレベルの宣言を発表したにとどまり、広島開催の意義を損なうものだった。
反核医師の会も参加している「核兵器廃絶日本NGO連絡会」と広島の市民団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会HANWA」「ANT−Hiroshima」の共催で、11日には広大原医研元所長の鎌田七男氏の講演、12日午前はNGO会議のシンポジウム「核兵器禁止への道筋」、午後は原爆ドーム対岸の親水テラスでリレートーク「今こそ核兵器禁止を! Ban Nuclear Weapon Now」がおこなわれ、U−Tubeで録画配信された。
鎌田先生の講演「核兵器の非人道性 医学的エビデンスから」は被爆者によりそってこられた先生ならではの貴重な研究で学ぶところ大だった。3月に外務省の委託で鎌田先生、朝長先生たちが作成された「核兵器使用の多方面における影響に関する調査研究」は以下の外務省HPにファイルがあるのでご覧いただきたい。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/dns/ac_d/page23_000872.html
100万都市に広島原爆と同じ16キロトンが600m上空で爆発した場合、爆風は4.5km、熱線、放射線は2.8kmに及び、27万人の死傷者がでる。1メガトン水爆が2.4kmの上空で爆発した場合は爆風は18km、熱線は14kmに及び昼間人口1376万人中83万人の死傷者がでる。初期放射線の影響は3.0km以内の3万6000人であり、16キロトンで2.8km以内の15万5000人であるのに比して少ない。これは放射線が距離とともに減弱するため、2.4km上空から地上に届く間に急性症状が出るほどの線量ではなくなっているためである。過剰白血病数は220人と70人、過剰癌数は1万2000人と650人で、いずれも1メガトンの方が少ない。
鎌田先生は報告書の最後に「核兵器は非人道的なものと言わざるとえず、今後決して2度と使用されないこと、新たに作られないこと、さらに究極的には廃絶されるべきことを本研究の結論とする」との文言をいれることを提案したが削除されたとのことである。
以上