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グローバル原発企業が誕生

 

反核医師の会世話人・北川喜久雄


 安倍総理は原発輸出を成長戦略の一つと考えて、インド、トルコなどと原子力協定を結んだ。電力会社と、原発メーカーの利益を考えたものだ。国際原子力開発株式会社(グローバル原発企業)が設立された。北海道電力株式会社、東北電力株式会社、東京電力株式会社、中部電力株式会社、北陸電力株式会社、関西電力株式会社、中国電力株式会社、四国電力株式会社、九州電力株式会社、株式会社東芝、株式会社日立製作所、三菱重工業株式会社、株式会社産業革新機構が出資し資本金2億円の会社である。産業革新機構には政府が財政投融資特別会計から出資(2520億円)し、27社の民間企業も出資(140億円)している。

 民間企業とは、旭化成株式会社、大阪瓦斯株式会社、キヤノン株式会社、シャープ株式会社、株式会社商工組合中央金庫、住友化学株式会社、住友商事株式会社、住友電気工業株式会社、ソニー株式会社、武田薬品工業株式会社、東京電力株式会社、株式会社東芝、トヨタ自動車株式会社、日揮株式会社、株式会社日本政策投資銀行、パナソニック株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、株式会社日立製作所、丸紅株式会社、株式会社みずほコーポレート銀行、株式会社三井住友銀行、株式会社三菱ケミカルホールディングス、三菱重工業株式会社、三菱商事株式会社、株式会社三菱東京UFJ銀行、GEジャパン株式会社、JX日鉱日石エネルギー株式会社の27社だ。官民一体となって原発を輸出する計画である。

 カリフォルニア州サンオノフレ原発2号機と3号機の蒸気発生器の配管が破損し運転を停止している問題で三菱重工が損害賠償を求められている。原発に何らかのトラブル、過酷事故等が発生した時、その補償はどうなるのか。当然、国際原子力開発株式会社がするであろう。その補償の原資をどうするのか。電力会社と政府が関与しているので、電気料金と税金で賄うことになる。福島第一原発事故の補償金がどれくらいになるか検討もつかない状況で、海外の原発まで補償すると末恐ろしくなる。本来国民に再分配されるべき税金が海外の原発に流れ、国民生活を圧迫するだろう。 輸出先はどの国であろうと儲けたらいい。

 また、使用済み核燃料を日本が回収する約束をして他国の原発メーカーと競争するかもしれない。核の平和利用で原発を売ることは、核兵器の核拡散に協力することになる。

 5月末の国連科学委員会は福島事故では住民の健康被害は無かったと表明し、日本政府も健康被害はないとしている。甲状腺のガンや腫瘍は丁寧に調べてたまたま見つかった「スクリーニング効果」と放射線の影響を否定している。事故の被災者への補償金を少なく見積もり、健康被害もない、日本の原発は再稼動も出来ると世界に宣伝すれば、原発を買ってもらえると思っている。グローバル原発企業は国民の健康や経済負担を食い物にし、安倍総理の言う国益など考えず、企業益のみ追及する。

以上